私の自転車と周辺紹介

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2023年9月  中村 淳 (第24代・昭和56年卒)  [記事番号:b0085]
自転車熱ふたたび/いきなりサイクリング  (資料:無し )

自分は趣味の多いほうだと思うが,それらをバランスよく楽しむことが得意ではない.つまり何か他の趣味にかまけて,ある趣味がしばらくの間休眠状態になることがある.しかし多くの場合,完全にやめてしまうわけでなく,何かのきっかけで再び活動し出すことになる.

自分が旅に出る目的は4つある.自転車に乗ること,オートバイに乗ること,鉄道に乗ること,そして写真を撮ることだ.どれもモノ(機材)やコト(あつかい・経験)にこだわることだ.趣味であっても,モノやコトにこだわり続けるには継続的な努力を要する.最近まで,自転車は11–12年ほど休眠状態だった.それは,自転車では他とちがって身体能力も維持し続ける必要があって,少し長いインターバルがあると急激にハードルが上がるからだ(オートバイにもその傾向はあるが,自転車ほどではない).

それでも,自分の自転車熱はまた戻ってきた.それは,自分がRCTC OB/OG会事務局のホームページを管理していて,さらに過去のアルバム写真や「道」の記事をメンテナンスしたりして,投稿者の当時の熱を感じ,それに触発されたからだ.特に,仲間同士でランに出かける楽しい雰囲気を文面や画像から感じて,学生時代を思い出し,またあの雰囲気に浸りたいと思うようになったからだ.

社会人になってから,自転車趣味は途中で少し休んだりしながらも,細々と続けてきた.20代の終わり頃に仕事の関係で東京から茨城に移って,そのせいもあって以後ずっと自転車はソロで走っていた.学生時代のあの楽しくて強い結びつきを思うと,もともと社交的でもない自分に地域で同じような自転車仲間ができるという期待ももてなかったし,ソロで走る自由さを好んでもいた.

1975年卒の鈴木宏和さんの代はとてもアクティブにやっていて,うらやましいと思う(あれは青木さんのおかげだと,ある人に聞いた).ソロの楽しさもいいけれど,やっぱり仲間同士で楽しくやりたい.こう思うこと自体,自分はかなり変わったと思う.

学生時代の仲間に声をかけるにしても,まず自分の自転車環境(機材とモチベーション)を整えなければならない.自宅には,学生時代に東村山のショップ,ササジマで作ったロードと,2008年に買ったラレーのクラブモデルがあるが,どちらも走り出すには整備が必要だ.それに今は,ランドナーでのんびり出かけたい気分だ.RCTCに入部したときに買ったミヤタ エディメルクス キャンピング(車名と仕様がミスマッチだが)は自転車同士の衝突でフレームが曲がってしまったし,その直後にやはり東村山の別のショップ,ディオスで作ったランドナーは戸外に置きっぱなしにしていたら朽ちてしまった.

世紀が変わってラレーを買ったとき,世の中の自転車事情を見て,ランドナーが絶滅危惧種であることを知った.ぼやぼやしてると手に入らなくなるという焦りがあったが,そのような先細り車種の部品,特にタイヤ関係はますます市場から消えて維持すらできなくなるという不安もあり,手をこまねいていた(ママチャリ用650Aはあるが).しかし最近のいわゆるグラベル バイクが650Bを採用したことで部品供給の見込みが立った.マイノリティーであることは変わらないが(むしろマジョリティーであってほしくないと自分は思う).

定年を過ぎているし,他の趣味にも金がかかるので,オーダーなどは考えなかった.自転車もオートバイと同様に,主要な顧客がかつての若者からずっと上の世代になり,それとともに市場の価格も青天井になった.金に余裕があるオトナが市場を高騰させ,ひたむきだが金のない若者を困らせるのは困ったものだ.棚に上がっているわけではない.金に余裕がないオトナの自分も困っている.

で,最近,アラヤのツーリストというランドナーを買った.アラヤというメーカーは,かつてはリム屋という認識しかなかったが,ランドナーやスポルティーフといった旧来の車種を維持することにとても尽くしていると思う.詳しくはアラヤやラレーのwebページを参照されたい.

昭和の頃,メーカー車はその価格として納得できる品質を最初から備えていて(それが当たり前に思えるが),何かの部品をいきなり交換する必要はなかった印象がある.しかし今は,特にコロナ禍とロシア・ウクライナ紛争のせいで工業製品の供給が厳しく,部品の値段も上がっているので,コストカットのために一部の部品の品質は明らかに劣っている.このランドナーも,ゴリゴリ引っかかるペダルだけは納得できず,すぐに三ヶ島のシールド ベアリング付きのやつに交換した.また,時代の流れなのだろうが,フレーム ポンプも,それ用のダボもない(全長20cmかそこらのハンディ タイプをバッグに入れるのがトレンドのようだ).それで,パナレーサーのミニ フロア ポンプ(全長33cm)を買った.それらを除けば,ほぼ満足できる品質だと思う.

走ってみて最初に感じたのは,ケンダという台湾製の,カタログにはない650-38Bアメサイド タイヤで走る,踏面が路面にベタッと貼りつく少しパワーロスのありそうな,しかしふわっとした乗り心地だった.そうだ,この感覚だよ,と昔のランドナーを思い出した.チューブラーのレーサーに比べて,急かされない,のんびりした乗り味が今の自分には合っていると思った.

余談だが,チューブラーはヴィットリア ラリーとか,ウォルバー333とか,安いのばかり履いていた.それでも,奮発して1回だけクレメン クリテリウム セタ エキストラを履いたことがある.空気が入っていないとサイドがセロテープみたいにふにゃふにゃだった.8 kgf/cm2ほど入れて走っても,正直,ちがいがよくわからなかった.多分本気のレースを走っていないからだろう.なんちゃってファスト ライドにはタイヤ銘柄を気にする前に,空気圧と接着精度がよっぽど大事だと感じた.

このランドナーでまずは昔の感覚を取り戻そうと思う.遠出をするにはいろいろと道具をそろえなければならないので,まずは家の回りの散歩コースを走っている.天気がよい日には距離10km,上り標高差60mくらいを2周,70分くらいで走る.私の家は茨城県南の田舎にあるので,家から5分も走ると写真のような景色になる.家を出るといきなりサイクリング気分になれる.結構なリフレッシュになる.

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