活動報告
2018年5月 小宅 哲哉 (第17代・昭和49年卒)
[記事番号:r0254]
伊勢路・近江路桑名~草津編(東海道中輪歩の記 その9) (資料:無し
)
日時:4月22(日)~25日(水)
走行者および自転車:
• 17期
横山(BD-1)
小宅(Giant Idiom)
• 18期
遠山(パナレーサー)
中村(ビアンキロード)
全コース:桑名~宮 108km
この道中も佳境に入り、関東人には異郷の地である伊勢路・近江路となった。今まで同行していた宏和くんが不参加であったが、小田原まで同行した中村くんが久しぶりに参加し同行4人の旅となった。この道も前回にも増して旧東海道の雰囲気が色濃く残る道、正に江戸時代を旅した思いがした。
1日目:桑名宿
桑名駅前スーパーホテルに午後5時集合。遠山・中村組は、名古屋から清州城を見学して走ってきた。小宅は、前回解散地であった「宮の七里の渡し」の西に位置する東海道沿い中京競馬場駅から走ってきた。横山は早々に桑名に着き市中見学したらしい。
いったん落ち着いてからホテル近くを散策し、焼き蛤を探してうろつく。入った店が鶏料理屋だったため蛤は、わずかしか食べられなかった。心残りである。とにかく明日からの道中祈願を願って乾杯。遠山先生(天候に無関心)以外の関心事は、雨が降るかどうかである。雨男とまではいわないが、雨(最近は女性にも)に好かれているYくんにお祓いを頼んだ。
2日目:桑名宿~亀山宿(44km)
8時半出発、まずは桑名の七里の渡し跡に向かう。前回の到着地、宮の七里の渡しから海上でこの渡し場とつながっていた。本陣跡であった料理旅館山月はあるが、昔の面影は薄れ鳥居と常夜灯が残っていた。その近くの大正期の文化遺産である洋館六華苑は、月曜日のため休館。門の隙間から屋根を見ただけであった。前調べしておいた旧東海道路を厳密に辿り、桑名のシンボルである青銅の鳥居に着く。これから遭遇するであろう関西人に仁義を通した。一行には風体良からぬ某人がいるからである。
四日市に入り天文19年(1550)創業の老舗笹井屋で休憩。いきなり入店した遠山先生の容姿を見て、店員は不審がり怖がったが、他の3人の上品な雰囲気をみて安心したようである。名物「なが餅」を食し、先生の所望したお茶を頂く。すぐに日永の追分に着く。ここは東海道と伊勢街道の分岐点であり、二の鳥居が立っていた(桑名の渡しが一の鳥居)。どういうわけか湧水がでていてポリタンクに水を汲んでいた人が何人もいた。先生は何か話しかけていたようだが、我々は傍観した。
四日市を過ごし国道を横切り、激坂である杖衝坂を登る。ここは日本武尊が剣を杖にした話が伝わる所だ。坂を上がって国道に戻りドライブインで昼食。名前は采女(うねめ)食堂と趣があるが、ドライバー食堂のようでメニューが豊富であった。
腹を満たし石薬師宿に着く。ここは石薬師寺の門前町である。薬師如来像が本尊さまのようで、3人(T以外)は道中の安全を祈願した。次は庄野宿である。この宿道は、昔のままの道幅で風情のある街並みであった。庄野宿から上り坂が始まる。遠山先生の疲労の色濃く、喘いでいるためにドラッグストアで休憩。本日、先生がやけに大人しかったのは、疲れていたためであったのか。そこから亀山城跡を見たのち、午後4時に市内のホテルに投宿した。
3日目:亀山宿~水口宿(38km)
本日は東海道中、最大の見せ場である関宿を通り鈴鹿峠を越える難関が待ち構えている。が残念なことに朝から天候すぐれず生憎の雨模様であった。峠に向かって気を引き締め8時半出発。亀山宿の旧道も昔の面影が随所に残り、気持ちが高揚してきた。
そしていよいよ関宿に入った。東海道と伊勢別街道の分岐である、大鳥居のある東の追分から街並が始まる。ここから西の追分まで1.8kmに渡る家並みは圧巻だ。写真やテレビで見たことはあるが、実際そこに立つと人間の綿綿とした営みを感じることができる。流石に国の伝統的建造物群保存地区である。しかも雨が降り訪れる人も少なく、街道を歩くは我々のみ。石畳の上をゆっくりとペダルをこぐ、サイクルツーリストにとって至福のひと時だ。
関宿を代表する大旅籠「玉屋」の内部を見学する。受付の上品な妙齢の女性に後ろ髪を引かれつつも、別の旅籠「会津屋」でコーヒーを飲み余韻に浸った。この店では、関西風さばけた女性が遠山先生のお相手をしてくれた。此処にいつまでも居たいが鈴鹿峠を越えねばならない、我々は関宿を後にした。
坂下宿前の筆捨山のあたりで遠山が転倒、落車する。路肩の獣避けの網に引っかかったためである。さほどスピードが出ていなかったことと、道標にぶつかったことが緩衝材となり大事に至らなくて済んだ。彼は石薬師寺で御祈願しなかったのだが、そのことが要因の一つであるかもしれない。
関宿から坂下宿まではさほど急でない。中村が飲み物を準備してないというので、自販機を探す。が、江戸時代にタイムスリップした街道沿いには、そんなものはなかった。しかし普段の行いが良い中村には天が味方する(Tさんとは大違いである)。偶然にも山間を走る移動スーパー(トラック)が止まって街の人に物を売っていた。運転手兼の若い女性2人が商いをしている。我々はそこで飲物とパンを買うことができた。移動スーパー名は「古市商店」といい、石薬師の町から商売に来ていたという。本当のコンビニエンス(便利)とはこういうことをいうのであろう。馬子唄会館の庇の下で雨をよけながら小腹を満たし、峠を目指す。
旧道もいつのまにか山道になってしまった。石畳から階段となり、落石注意のガレ場を担いで登る。つづら折りの道を登りきると杉木立の中の平らな所にでた。そこに鈴鹿峠の道標があった。雨は降っていて眼下の国道は霧深かったが、峠は明るく我々の気持ちも明るくなった。あずまやで休憩後、峠を下った。
少しの間、車が多い国道1号を走り土山の道の駅に着くが定休日。土山宿をのんびり走ると旧家の暖簾に「民芸茶房うかい屋」の文字がある。幸運にも(道の駅が休みだったため)土山名物の夕霧蕎麦を食べることができた。ぜんざいも食べ、雨で冷え切っていた身体が暖まった。この街並みも関宿に劣らず格子造りの町家が延々と続く。関宿ほど名は知られていないが、旧東海道の街並みが色濃く残る街だ。のんびりとして気取っていない感じである。
土山宿から続く道を走ると水口(みなくち)で、ここも旧家が並び優雅に佇んでいた。水口の駅舎も木造、瓦屋根の造り。傘を差した女子高生が立っていると、映画の1シーンのようである。
本日の宿となるホテルに午後4時到着。あれっ、横山がくつろいでいるではないか。関宿までは同行していたのだが、峠ではいつの間にか彼の姿が消えていたっけ。超能力テレポートの持主だったのか、とにかく全員集合めでたし。水口町は、町村合併して甲賀(こうか)市となり賑やかな町であった。ホテル近くにはショッピングモール、映画館が並び都会的。モール内の和食店で打上げの夕食をした。身体も冷え、一同疲労も濃く早々に部屋に戻った。
4日目:水口宿~草津宿(26km)
雨が上がるのを待って9時出発。市内の水口城を見学後、暫し車が多い国道を走り、横田の渡しを過ぎた三雲駅から旧道に入る。京に近くなるにつれて旧街道の街並みは、寺社仏閣が多くなる。隣同士がお寺のようだ。街道に石造りの隧道がある。その上を大沙川が流れている、天井川である。このような複雑な地理について、遠山先生は知識を披露するのだが、滑舌と表現力が悪いせいか私にはよく理解できなかった。
まもなく石部宿、「京立ち石部宿泊まり」という京から最初に泊まる宿である。堅実な人物を「石部の金吉」というが、金山があったこの地がその由来らしい。4人の中ではN君がそれに近い。それに比べT君は「金に目がない」。その街道に面して、大きくて立派な旧家が現れた。和中散本舗の旧商家である。庭は小堀遠州作といわれるが、残念ながら予約なしでは入れない。家前の腰掛に座り一休み、記念撮影をした。
さらに少し走ると国道1号を渡り、喧騒とした草津の街中に入る。今回の目的地である東海道と中山道の追分の道標に到着。そこは繁華街の中にあり、とても昔の面影はなく、雑然とした所であった。全員の無事を祝し近くのうどん屋にて最後の昼めしを食べ解散。その後、各自思い思いの道を進んだ。
番外記
事前にルートラボにて旧道のルートを作成し、それをスマホにダウンロードしてナビとして使った。静岡あたりからこの方式を利用するようになった。関東人にとっては、愛知以遠は未知の道。行き当たりばったりだと、旧道を探し当てることは相当に難しいであろう。やはり鈴鹿峠は雨であった。箱根峠は豪雨であったが、今回の雨はしっとりと降り注ぎ、合羽からげて三度笠、股旅のように旧街道を歩くことができた。あと1回で京に着く。
行程
• 1日目:スーパーホテル桑名駅前17:00集合
• 2日目:ホテル8時半発~七里の渡し8:50~青銅の鳥居9:10~笹井屋10:50~日永の追分12:00~杖衝坂12:15~采女食堂13:20~石薬師寺13:45~庄野宿14:20~亀山城15:30~亀山ストーリアホテル着15:45
• 3日目:ホテル発8時半~9:10関宿10:30~坂下宿11:00~鈴鹿峠12:30~土山14:10~水口駅15.40~水口センチュリーホテル着16:00
• 4日目:ホテル発9時~水口城~横田の渡し9:50~大沙川隧道10:15~石部~和中散本舗11:30~追分道標12:10~草津駅うどん屋にて解散13:15
桑名の青銅鳥居 | 関宿 |
水口駅 | 石部宿和中散本舗 |
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